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良い?悪い?羊肉(ラム・マトン)の食べ合わせと嬉しい3つの栄養を徹底解説!

更新:


 羊肉は日本での歴史が浅く、ジンギスカンブームなどで広く認知されるようになりました。羊肉は鉄分ビタミンB1を豊富に含んでいるほか、脂肪燃焼を助けるカルニチンを多く含んでおり、ダイエット効果も期待されています。羊肉の食べ合わせについて、ぜひとも知っておきましょう。

薬剤師のイラスト <この記事の著者>
 メディカルアーカイブ所属
 薬剤師 松田俊浩※


目次


羊肉はどんな食材?

 日本では近年まで養羊があまり行われていなかったため、羊肉にもあまり馴染みがありませんでした。明治以降北海道では養羊が推奨されていたため、ジンギスカンなどの食文化が生まれました。

 羊肉は年齢によって呼び方が異なり、生後1年未満のものをラム、1年以上経ったものをマトンと呼びます。成長するにつれて特有の香りが強くなり、肉質も硬くなります。

 以前は羊肉を円筒状に冷凍し、それをスライスしたロール肉が主流でしたが、現在は流通技術の向上などによって新鮮な生の羊肉が流通し、スーパーなどでも簡単に入手できるようになりました。

 羊肉特有の香りを苦手とする人がいますが、この特有の香りは脂の部分に含まれているため、気になる人は余分な脂を取り除いて調理すると香りを減らすことができます。

 また、羊肉の脂は融点が高いため、料理が冷めてしまうと脂分もすぐに固まってしまいます。そのため、羊肉の料理はあつあつのうちに食べるのがおすすめです。

羊肉に含まれている栄養素

■カルニチンが脂肪の燃焼を助ける
 羊肉はやわらかくて消化がよく脂肪も少ない上に、鉄分ビタミンB1ビタミンB2を豊富に含んでいるため、病中・病後の体力回復に優れた効果を発揮します。また脂肪燃焼を助けるカルニチンを多く含んでおりダイエット効果も注目されています。

 羊肉は体を温める作用がどの肉よりも優れているといえます。冷えると腹痛や下痢を起こす人や、精力が衰えた人には効果があります。また呼吸器系が弱くて風邪をひきやすい人、咳が止まらない人、喘息発作が頻繁に起こる人が食べる事で、回復力の増強を計ることができます。

 また血を補う作用が強く、産後の体力の衰えや月経不順、おりものなど、婦人病の改善に効果があると言われており、中国では「女性の肉」と呼ばれています。

■特有の香りは脂肪に含まれている
 羊独特の臭いは脂肪中に含まれるカプリル酸が原因になっています。羊肉の臭みが苦手という人は脂肪部分を取り除くことで軽減することができます。

 特有の臭みは新鮮な肉ではほとんどせず、古くなると臭みが強くなっていきますので、なるべく新鮮なものを選ぶのもポイントです。また、香辛料を使うことで臭みを消し、おいしく食べることができます。ラム肉はマトンに比べて臭いが少ないのが特徴です。

栄養解説
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皮膚や粘膜の健康に欠かせない!〜ビタミンB2の働きと効果をポイント解説〜
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羊肉100gあたりの栄養価

 以下の表では、羊肉(ラム肉)100gあたりに含まれているエネルギー量や、主要なビタミン・ミネラルなどの含有量を示しています。単品からの栄養摂取に偏ることなく、さまざまな食材を上手に食べ合わせて、バランスよく栄養を摂取しましょう。

エネルギー 280 kcal
脂肪 23.41 g
飽和脂肪酸 10.19 g
一価不飽和 9.6 g
多価不飽和 1.85 g
タンパク質 16.56 g
ビタミンB1 0.11 mg
ビタミンB2 0.21 mg
ビタミンB3 5.96 mg
ビタミンB5 0.65 mg
ビタミンB6 0.13 mg
葉酸 18 μg
ビタミンB12 2.31 μg
コリン 69.3 mg
ビタミンE 0.2 mg
ビタミンK 3.6 μg
ナトリウム 59 mg
カリウム 222 mg
カルシウム 16 mg
マグネシウム 21 mg
リン 157 mg
鉄分 1.55 mg
亜鉛 3.41 mg
マンガン 0.019 mg
出典:USDA食品成分データベース

栄養効果を高める食べ合わせのポイント

■羊肉のカルニチンは豚肉の2倍
 羊肉には各種ビタミンやミネラルが含まれていますが、特筆すべきはカルニチンの多さです。カルニチンはアミノ酸の一種であり、体内でリジンとメチオニンから、肝臓や腎臓でつくられています。

 カルニチンの働きは、脂質からできた脂肪酸を細胞の中のエネルギーを生み出すミトコンドリアに届けることです。

 カルニチンが十分にある場合は、脂肪酸がミトコンドリアに運ばれてエネルギーに変わることができますが、カルニチンが不足すると脂肪酸がエネルギーに変わることができず、脂肪として体内に蓄積することになります。

 カルニチンは体内でつくることができますが、年齢とともに減少していきます。日本人の場合、体内にあるカルニチンの4分の1は体内でつくられていますが、残り4分の3は食事から摂取していると言われており、カルニチンを多く含む食材を選ぶことが大切であることがわかります。

 羊肉には豊富にカルニチンが含まれており、その含有量は肉類の中でトップクラスです。牛肉よりも多く、豚肉の2倍以上となっています。また、ラム肉よりもマトン肉の方が含有量は多くなります。

■ショウガがカルニチンの働きを助ける
 カルニチンを豊富に含む羊肉と一緒に食べ合わせるとよい食材として、ショウガが挙げられます。

 ショウガには辛味成分であるショウガオールが含まれており、血行を促進し、身体を温める働きがあると言われています。

 羊肉はカルニチンの働きによって脂肪燃焼効果が高まり、身体を温める働きが強いため、ショウガの働きと組み合わせることで、血行を促進し、エネルギー代謝を高め、冷え性の改善効果が期待できます。

■βカロテンとビタミンB2で美肌効果
 羊肉には皮膚や粘膜、髪や爪を健康に保つ働きがあると言われているビタミンB2が多く含まれています。このビタミンB2が豊富な羊肉と一緒に食べ合わせるとよい食材として、βカロテンが豊富なにんじんほうれん草カボチャが挙げられます。

 βカロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあると言われていますので、ビタミンB2の働きと併せて美肌効果が期待できます。

関連食材
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一緒に食べるとよい食材
期待できる効果



一緒に食べるとよい食材 期待できる効果
イカ
ニンジン
ごま
黒豆
ショウガ
婦人病の改善
ニンニク
オリーブオイル
くるみ
精力増強
夜間頻尿の改善
ショウガ

山椒
クミン
ナツメグ
冷え性の改善
昆布
ゆり根
銀杏
白きくらげ
咳や息切れの改善


参考文献
出典1:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|脂溶性ビタミン

出典2:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|水溶性ビタミン

出典3:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)|ミネラル(多量ミネラル)

出典4:厚生労働省|令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要

出典5:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)|めんよう/[ラム]/かた/脂身つき/生

出典6:文部科学省|日本食品標準成分表2020年版(八訂)|めんよう/[ラム]/ロース/脂身つき/生

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